クレジットカード現金化は免責不許可で自己破産できない⁉債務整理について解説

クレジットカード現金化をすると、免責不許可で自己破産ができない」という説がありますが、これは事実なのでしょうか?

免責不許可とは、文字通り借金の返済義務を免除すること(免責という)ができないという意味です。

ギャンブルや無駄遣いなど、不当な理由によって作ってしまった借金は「免責不許可事由」に該当し、カード現金化もそのひとつに数えられます。

それでもなお、クレジットカード現金化を行った事実があるからと言って、免責不許可で自己破産ができないわけではありません。

今回は自己破産するための条件や、免責不許可を免責許可へと変える方法、自己破産以外の債務整理の手続について解説します。

そもそも自己破産とは

自己破産とは、財産や収入の不足により、借金の返済がままならない債務者が、支払不能の状態であることを裁判所に認めてもらい、法律上、借金の支払い義務が免責してもらう手続のことです。

債務の支払い義務が免責されるための条件は、以下の2つです。

  • 借金が支払えない状態であること(支払不能)
  • 借金の理由や経緯が正当であること(免責不許可事由でないこと)

この2つの条件を裁判所に認めてもらうためには、「破産手続」と「免責手続」という2つの手続を経る必要があります。

破産手続とは、破産申立人(債務者)の財産額や収入額を調査し、借金が支払えない状態であることをチェックする手続です。支払不能状態であることが認められ、「破産手続開始の決定」がなされると、破産者となります。

免責手続とは、借金をした理由や経緯を調査し、免責を許可するかどうかをチェックする手続です。「免責許可の決定」を得ることで、ようやく自己破産をして借金をゼロにすることができます。

ただし、自己破産をすると、信用情報機関に事故情報として登録されて7~10年間は借入ができない、一定期間資格を制限されるといったデメリットもあります。

支払不能とは

自己破産の条件のひとつである支払不能とは、裁判所が「申立人は借金を返済できるだけの財産や収入がない」と判断した状態のことです。

裁判所が申立人を支払不能と判断するには、資金化して借金の返済に充てられる財産の有無だけでなく、信用や労力、技能なども考慮します。

たとえば、持ち家や自動車などが無くても、本人の信用や労力で借金返済のための資金調達(=支払い能力)が可能であると判断すれば、支払不能とは認められません。

一方で、生活保護を受給している、病気やケガなどで働けない、といった事由がある場合は、少額の借金でも支払不能と認められる可能性があります。

免責不許可事由でないとは

破産手続きに続いて、免責手続において債務者の借金の理由が免責不許可事由であると判断されれば、自己破産はできません。

破産法第252条1項では、以下の項目を免責不許可事由としています。

(1)浪費(むだづかい)やギャンブルによって多額の借金をしてしまった場合
(2)財産を隠したり,壊したり,勝手に他人に贈与したりした場合
(3)破産申立てをする前の1年間に,住所,氏名,年齢,年収等の経済的な信用に関わる情報について嘘をついた上で,お金を借りたり,クレジットカードで買物をしたりしたような場合
(4)ローンやクレジットカードで商品を買った上で,その商品を非常に安い値段で売ってお金に替えた場合
(5)破産の申立てをした日から数えて7年以内に免責を受けたことがある場合
(6)裁判所や破産管財人が行う調査に協力しなかった場合

引用:http://www.courts.go.jp/nagoya/saiban/tetuzuki/l4/Vcms4_00000280.html

今回の記事の本題である「クレジットカード現金化による借金」は、上記の(3)や(4)に該当します。

したがって、カード現金化によって借金返済のお金を調達しようとしたり、カード現金化で購入した商品の代金を支払えなくなったりした事実がある場合は、裁判所に免責不許可事由として判断され、自己破産が認められない可能性があるのです。

免責不許可でも自己破産する方法

クレジットカード現金化によって借金を抱えてしまった場合は、免責不許可事由によって自己破産できない可能性がきわめて高くなります。

しかし、冒頭で触れたように、実際は免責申立をした人のうち96%が、無事に免責許可決定を得ています。

以下に紹介するケースでは、たとえ免責不許可事由があっても、自己破産が認められる可能性があります。

裁判官の裁量免責が出る

債務者が免責不許可事由に該当する場合でも、裁判官が免責許可を出す「裁量免責」という制度があります。

裁量免責とは、裁判官が諸般の事情を考慮して、免責不許可事由があっても免責決定を判断することです。

具体的には、債務者本人が

  • 深く反省している
  • 二度と多重債務に陥らないと誓約する

という2つの意思を示すことができれば、免責不許可事由に該当する場合でも、裁判官の独自の判断で免責を許可するというものです。

さらに、債務者が反省と誓約の意思を示す反省文を提出することにより、裁量免責が出される可能性がさらに高くなります。

裁量免責や反省文の書き方については、以下の記事をご参考になさってください。

「即時抗告」で異議申し立てをする

裁量免責も認められなかった場合は、免責不許可の通知を受け取ってから2週間以内に、「即時抗告」という異議申し立てを行います。

即時抗告とは、自己破産を申し立てた地方裁判所を管轄する高等裁判所に対して、審判に不服があると申立てをすることにより、高等裁判所に審理をしてもらうことです。

ただし、全ての事件について即時抗告の申立てができるわけではないので、審判をした家庭裁判所に確認する必要があります。

即時抗告も判決が覆らなかった場合は、自己破産ができません。

次章で解説する自己破産以外の方法で、借金を減らすことを検討しましょう。

自己破産以外の債務整理の方法

自己破産以外の債務整理には、以下の手続があります。

  • 個人再生
  • 任意整理
  • 特定調停

いずれも手続後は、信用情報機関に最長5~10年間債務整理として登録され、いわゆる「ブラックリスト入り」となってしまいます。

ただし、債務(借金)を大きく減額してもらえる可能性があるため、自己破産ができなかった場合は債務整理を検討することをおすすめします。

それぞれの手続について、以下で詳しく解説します。

個人再生(民事再生)

個人再生(民事再生)は住宅等の財産を維持したまま、借金を大きく減額してもらう債務整理の手続です。

債務者が裁判所に個人再生の申し立てをして、大幅に減額された債務を3~5年の分割で支払い、残りの債務は免除してもらうことができます。

ただし、個人再生をするためには、

  • 将来的に継続又は反復した収入があること
  • 債務の総額が5,000万円を超えないこと

という条件をクリアする必要があります。

あくまでも減額であり、自己破産の免責のように債務が免責されるわけではありませんが、債務の元金を最大9割減額することができ、財産が処分されたり、資格を制限されたりすることもありません。

き、債務を減らす効果が非常に大きい方法であるということです。

再生計画案が裁判所に認可されて、分割支払いが終われば、すべての債務がなくなります。
返済期間については、原則3年となりますが、特別な事情がある場合には、5年までの長期分割弁済が認められます。

任意整理

任意整理は、借入先の債権者の一部、あるいは全部と協議をした上で、借金の返済方法を決め直す債務整理の手続です。

債権者と合意に至れば、支払利息をすべてカットして、借金の総支払い額を減額することができます。

支払利息をカットしたうえに返済期間も延長できるので、月々の負担も少なくなって返済が楽になります。

特定調停

特定調停は、債務者と債権者との間に簡易裁判所の調停委員が入り、借金の返済方法を協議で決定する債務整理の手続です。

調停が成立したら調停調書が作られ、その内容にしたがって支払いを続けていけば、借金完済となります。

カード現金化の自己破産についてのQ&A

カード現金化が原因の自己破産についての疑問に、Q&A形式でお答えします。

Q.カードで作った借金が50万円くらいなのですが、自己破産できますか?
A.自己破産で借金を免責してもらうためには、破産手続において債務者の借入総額と財産、信用、労力などをチェックした上で、「支払不能」であると認められる必要があります。したがって、借金の額の大きい・小さいはひとつの要素でしかありません。
Q.ヤミ金のカード現金化で借金を作ってしまったのですが、免責不許可事由になるのでしょうか?
A.破産法第252条1項では、免責不許可事由のひとつとして、「破産手続の開始を遅延させる目的で,著しく不利益な条件で債務を負担し,又は信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと」と規定しています。したがって、破産手続きの開始を遅延させる目的でヤミ金を利用した事実がある場合は、免責不許可事由に該当します。 >>「免責不許可事由の条件」について詳しく見る

Q.弁護士に依頼せずに自己破産は自分で申し立てることはできますか?

A.できます。ただし、債権者からの請求や取立行為をただちにストップさせるメリットが得られません。
Q.裁量免責が認められるのは難しいのですか?
A.弁護士を代理人として立てていれば、大半の場合に認められていると考えられます。実際に、免責申立人の96%は免責が認められています。

カード現金化をしていても免責は認められる

借金がこれ以上返済できないいう状況に陥った場合、返済を滞らせたままにするのは、もっともやってはいけない行為です。

どのような理由で借金を作ってしまったかに限らず、借金を減額できる可能性はあります。

必ず債務整理に精通した弁護士に相談して、ただちに手続を開始しましょう。

弁護士に相談すると相談料や報酬等の支払いが発生しますが、借金を減額あるいはゼロにすることでカバーできます。

クレジットカード現金化は、いざというときにクレジットカードのショッピング枠でお金を作れる便利な方法ですが、無計画に利用すれば返しきれない借金を背負うことにもなります。

「カード現金化で借金が返せなくなっても、自己破産すればいいや」ではなく、リスクもしっかりと理解したうえで、賢く利用するようにしましょう。